こんにちは。栗原貴子です。
私がなぜ「着付けパーソナルレッスン」をはじめたのか。
理由はいくつかあるのですが、そのひとつに「今あるものを大切にする暮らし方を、未来のために復活させたい」というものです。
今の時代、たくさんのご家庭に「着られていないきもの」が眠っています。
買い取り業者やリサイクル店も増えましたが「売れない」「たいした値段がつかない」という現実もよく知られるようになりました。
そして「着られていないきもの」がなぜ、発生するかというと「着付けができないから」です。
「着付けはできるのだけど、私、あんまりきものが好きじゃないのよね。だから着ないの」
という方っていません。
そもそも、好きじゃなければ着付けを習得しようと思わないというのもあるけれど。
「着付けもできないし、私、着ないし」という方は悩んだり迷ったりするまでもなく、「お値段がつかなくても構いませんので」と買い取り業者にお電話されていることでしょう。
そうしないのは。
「もったいない」「祖母や母の思い出の品を処分するのは忍びない」「着付けさえ覚えれば自分が着られるのに」「娘や孫が着るかも知れない」といった思いがあるから。
そんな「着られないきものたち」が詰まった箪笥には「思い出」も詰まっている。
そして、下世話なことを言えば、その箪笥の中身には相当な金額が費やされているはず。
お身内にきものを着る女性が多いご一族ですと「おばあちゃんが亡くなった後、親戚のおばちゃんたちが血相を変えてきものを奪い合って、空っぽの箪笥だけが残った」というエピソードになります。
このお話を友人から聞いた時、私は『いい話だなあ』と思ったのですが、友人は「血相を変えた親戚のおばちゃんたちの熾烈な争い」が怖かったらしい(苦笑)。
でも、私のように「親族で唯一のきものを着る人」になる場合や、「誰も着られる人がいない」というケースのほうが圧倒的に多いと思います。
私の箪笥の中に頂着物(いただきもの)が多いのは、そういう理由なのです。
「きもの、どうしよう問題」の私が考える理想的な解決方法は「ご自分がお召しになること」です。なぜか、というと「きものって、いいわあ」と開眼されれば、人生に新しい喜びを手にできると同時に。「着られるようになったけれど、そんなに好きじゃないわ」ということが分れば「買い取ってもらおう」と決断することになっても、きっぱり、さっぱりできるから。
宮島の朝焼けの空です。
この地球上のあらゆる資源は限りあるもの。一枚のきものができるまで、蚕さんが一生懸命、繭をつくりました、という以前に「桑の葉いっぱい食べました」という経緯があります。染色も鉱物、植物が使われていますし、豊富な水資源や雪といった自然の営みのおかげがあって、それらの工程に多くの人の時間と技術が重ねられて完成しています。
箪笥で眠っているきものに、袖を通してあげて欲しいな、と思うのはそんな理由もあるのです。
ひとりの人が「この箪笥のきものを自分で着るわ」という選択をされること。
それは、ひとりの人生の選択にとどまらず、もっともっと壮大な規模での「未来」に影響することなのです(壮大な未来への影響はまた、あらためて書きますね)。
限られた資源を大事にすることにつながる、というのはもちろん。
きものを着るようになると、審美眼も培われていきます。
すると受け継がれた箪笥の中身に対しても、
「これはお値段がつかなくても、引き取ってもらっていいな」とか。
「お手入れに費用がかかるけれど、手元に残しておきたいな」とか。
「私は着ないけれど、着る方がいたら差し上げたいな」とか。
「頑固なシミがあるけれど、きれいな部分を手芸の材料にしてもらえるかも」とか。
色々な判断ができるようになってきます。
自分で着られるようになると、それまで「ただの布」にしか見えなかったきものが、「うわ、お宝発見!」「素敵な柄ねえ」と見えるようになります。
子供の頃、ビールはただの苦い液体にすぎなかったけれど。
大人になって気づけば「ぷはー!サイコー」って言っているような、イメージです 笑
そうやって、ご自分もきものを楽しみながら、少しずつ整理をしていくのが、理想的なのでは? と思うのです。
また「布としての使命を全うさせてあげよう」という発想が生まれたり。
大量生産、大量消費という社会の在り方の中での「モノ」との向き合い方も変わってきます。
どんな変化が起きるのか、それは人それぞれであり「お楽しみ」でもありますね。
人生が変わるきっかけとなることも少なくないのです。うふふ。
受け継がれたきものを「ご自分が着る」という選択をされたときに。
私がお役に立てたら、と願っております。
「受け継いだきものを着たい」という方はもちろん。
「この夏、自分で浴衣を着たい」という方も。
浴衣から覚える着付けパーソナルレッスン受付中です!
お待ちしておりますね。
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