今日も読んでくださってありがとうございます。
♪この横浜に勝るあらめや~♪ にピンときた方は。小中高を「横浜市の公立の学校」で過ごした方であられることと思います。
そう。
横浜市自慢の。
横浜市歌です!!!
森鴎外作詞のこの歌。
♪わが日の本は島国よ~♪という歌いだしの。右だけ翼がはえそうなあの歌。
先日、フォトグラファー桂子の依頼でスタンドインモデルとして大さん橋に参りました。
(スタンドインとは、本番の撮影の前に行うテスト撮影のことです)
小中高、横浜の公立学校だった私は12年間、横浜市歌をことあるごとに唄っていたので、今でも歌詞を見ずにそらで唄えちゃうわけですけれども。
横浜を出てから早27年の時が過ぎ。
みなとみらい線という最新の鉄道におろおろ。
昔はこの辺には電車、走ってなかったからね!!!
大さん橋の最寄駅は「日本大通り駅」。私は下車して改札内のお手洗いに行った後、改札で駅員さんに「改札はここ1か所ですか?」と質問しました。
駅員さんは「はい、ここだけです」とにこやかにお答えくださいました。
フォトグラファー桂子とは改札で待ち合わせ。
車中で交わしたLINEでは到着しているはずの、桂子がいない。
駅構内には郷愁を誘うといいますか、私も知らないような超レトロな歌のBGM。
ふと『ここは、どこ?』と脳裏によぎりました。
見回しても今、ここが何駅なのかさっぱりわかりません。
もう一度、改札で駅員さんに尋ねました。
「あの、ここは何駅ですか?」
その瞬間、さきほどはあんなににこやかだった駅員さんの表情に動揺が走りました。
私は『しまった!』と思いました。
「ここは何駅ですか?」なんて。あなた。
記憶喪失とか。
若年性なんとか、とか。
その他もろもろの懸念があふれる質問の仕方じゃないですか!!!!
一瞬うかんだ動揺の表情をひっこめた駅員さん「ここは馬車道駅です」
私「あ! 私、日本大通り駅に行きたいのですが」
駅員さん「ひとつ隣の駅です」
私「歩いていかれますか?」
再び、駅員さんの表情に動揺が走り、私、二度目の『しまった!』でございました。
『駅を間違えるような人が、道に迷わないはずがない』と駅員さんのお顔にくっきり書いてありました。
駅員さん「電車、数分おきに着ますから乗られたほうが」
私「そうですよね~」
私がただの「うっかりしたオバサン」だと分かっていただけたようで、駅員さんも再び、笑顔に。
『駅は間違えたけど、私、横浜市歌、唄えるんですよ』
せっかく笑顔が戻った駅員さんに新たな不安材料を投下するセリフであると判断して、口に出すのは自粛して、心の中で駅員さんにつぶやきました。
無事に「日本大通り駅」について地上に出ましたら。
見慣れた景色がありました。
「これが県庁よ~」「あれが氷川丸よ~。チャップリンが船旅で泊まったお部屋があるのよ。昔は氷川丸、アメリカに行ってた船なのよ」などと桂子に観光案内するほど余裕。
大さん橋で夜景を待ちながら、スタンドイン撮影にいそしむ私たち。
周囲にはロマンティックを求めてやってきたカップルが複数おりましたが、私たちのおかげでロマンティックムード激減。そんな私たちの目の前に、高校生と思しきダブルデートの4人組が。
男子A「座ろうぜ」とベンチに腰掛けるも、男子Bもじもじして座りもせずに「行こうぜ」とつぶやいた。
男子A「なんだよ、俺がせっかく……」
女子AとB「くすくす」
そのシーンだけで男子Aが男子Bの意中の女子とロマンティックに浸れるようとした、気配りを男子Bがスルーしたであろうことを、察する。「いいね~。青春だね~。今も昔も変わらないねえ~」と喜ぶ私。
街も電車も変わったけれど。
人の心、というものはあまり、変わらないのだなあ、とシミジミ。
あたりが暗くなりはじめ、夜景が浮かび上がります。
いよいよ、待望のロマンティック・タイム。
「夜景、きれいだけどさ。あれ、みんな残業してるってことだからね。あの辺、全部、オフィスビルだから」
スタンドインモデルをしながら、ロマンティック台無し発言をしてしまう私。
大人になることで得た知識が、日々の喜びをこうして減らしていくのかと反省。
この横浜に勝るあらめや。
しかし。
帰り道に立ち寄った、横浜の人気の観光スポットのレストランが「今ドキ、これ?」とビックリするほどマズかったのでした。
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