正直にいうと、この季節の昼間の「きものでの外出」はけっこう危険な気温です。

こんにちは。栗原貴子です。

梅雨明けした途端に猛烈に「夏!」がやってきて暑いですね。「夏生まれは暑いのが得意」というけれど、そんなのは迷信です。安静時血圧が「上85、下55」と「アイドルのバストウエスト」みたいな数字の私にとって、夏はさらに血圧が下がる季節。もちろん、暑さは不得意です。


日系ブラジル人もネパール人もインド人もタイ人も「日本のほうが(祖国より)暑い」と口を揃えます。「湿度が高いのがつらい」そう。


私の、このリサーチ結果を、オリンピック誘致したいというときに「お・も・て・な・し に適さないシーズンですよ」とお聞かせできなかったことが、悔やまれます。


夏の装いとしておススメの麻100%の「小千谷縮」です。


この色と紺の小千谷縮を持っておりますが、太陽光の吸収の点から、こちらの色のほうが涼しいです。

「小千谷縮」は「自宅でバンバン洗えちゃう」うえに「アイロン禁止」という素敵な素材。「シボ」と呼ばれているシワ感がアイロンで伸びちゃう上に、一度、高温で伸ばしてしまうと「シボがもどらない」ためにアイロン禁止なのです。


座ってできたシワや、たたんでできたシワは霧吹きでお水をシュっとして手で伸ばして干す、という方法で伸ばします。とはいえ、発汗が半端ないので一回着たらお洗濯、というのが現実的ですね。


数年前までは、小千谷縮で夏の日中のおでかけをしていたのですが……。


ここ数年は『一歩、間違えたら熱中症になる』という危機感を覚えるようになりました。



私がとくに恐れているのは「倒れたとき、きものを脱がせてくれる人が果たしているだろうか」ということ。


数年前、飲み会でたまたま居合わせた大学生男子に「きものの脱がせ方」を教えたらしい私ですが……。

(らしい、というのは、数年後、社会人となったその男子と偶然、再会したときに「あのとき、栗原さんにきものの脱がせ方を教えてもらったのをよく、覚えています」と言われたから。私はまったく覚えていないが、彼はしっかり脱がせ方を覚えていた。若いって素晴らしいわね、って私は青少年に何を教えているのだろうか……)


熱中症の応急処置「着衣をゆるめる」という点でも帯をゆるめること、必要です。

この部分が一番暑いから。

でも、救急隊員の人はご存知なのだろうか? きものの脱がせ方を。

ハサミでじょきじょきされちゃうのだろうか。

というか、切っても切っても、多分なかなか切れないです。帯締めも帯も。


結び目をほどいてくださーーーーい!

それが一番、早いでーす!


救命救急にかかわる方が「きものの脱がせ方講習」を受けていることを願いつつ(もしも、受けていないのならば、呼んでくださ~~~~い!!)


そんな不安が頭をよぎるレベルの暑さなので夏のきものは「日没以降のおでかけ限定」になりました。


もしも、日中にお出かけする必要があるとき。


①「着た後にゆっくりして涼む」こと。着付けをすると体温が上がりますから、それが落ち着くまでゆっくりする。

②氷水レベルの冷たい水を携帯する。

③駅までの道を歩く場合、保冷剤を首筋に当て、ゆっくり歩く。決してセカセカしない。

④日傘、扇子はマストアイテム。

⑤暑さが厳しいようならば、迷わずタクシーに乗る。


ということを励行してくださいね。


また、外出前に「塩分多めの食事をとる」のもお忘れなくです!


まだまだ、暑い日が続きますので。どうか、どうか、ご自愛くださいませ。

そして、私に「きものの脱がせ方」を突然、教わる方がこれからも出るかも知れませんが、あらゆる面での「いざというときの豆知識」としてお役に立てていただければ、と思います。




きもの伝道師 貴楽 Kiraku/栗原貴子

箪笥で眠っているきものを目覚めさせることは、地球の未来を守る一歩になる。 そんな風に思っています。 従来よりもカンタン、涼しい、ラクチンな着付け方法を開発。 着付けパーソナルレッスンも承っております。