「はれのひ」のようなケースから身を守るのは「知恵」と「知識」と少しの「勇気」です。

こんにちは。きものナビゲーターの栗原貴子です。


「はれのひ」の一件から善意の和が広がっている様子、とても嬉しく思います。

こうしたセレモニーは悪徳ビジネスに利用されやすい一方で、やっぱり「愛情」がベースにあるのだな、と痛感しております。だから善意の輪が広がっているのだろうな、と感じるのです。

悪いビジネスモデルの詳細をまとめられた記事をリンクしました、私の見解をまとめた記事とリンクした記事を合わせると相当に長いですけれども、消費者として知っておくとよいことなのでお時間のあるときに、ご覧くださいね。

「はれのひ」事件をマーケティングの視点で語るならば「愛情」と「女ごころ」の要素も需要なファクターなのです。


こうした「愛情を利用したビジネス」から身を守るための、最強の”武器”は知識と知恵、そして少しの勇気であると思います。


知識や知恵を求めようとするとき。


人は、ちょっと臆病になりがちです。

「こんなことを聞いたりして相手に迷惑をかけてしまうのでは?」

という心配だったり。

「無知だということが明るみになって恥ずかしいわ」

という気持ちがわいてきてしまったり。


でも「プロ」の方々は「分からない人がたくさんいるからこそ、自分がプロなのだ」と思っていることが多いので、たいていの場合、快く答えてくださるもの。


ただ、お知り合いであっても、お友達であっても、正規の相談料やお礼をお支払いします、と申し出ることを忘れないでね。


士業の方々や無形のサービスを行っている人のジレンマだけれども。

「お友達価格で」とか「無償で」っていうのはけっこう悩みの種でもあるのですね。

でも、人って無料や格安で教わったことって覚えない生き物。

つまり、まったく身にならないのです。

だから、自分のためにもちゃんとお支払いしましょうね、ってことですね。


きものの「知識」とか「知恵」というと「これは〇〇織で~」「これは△△染めで~」みたいな感じの”うんちく”が必要なのでは? と誤解されている方がおられますが。


呉服店でも始めようっていうのではない限り。


消費者としてそれは不要な知識です。


見ただけで織りや染めを言い当てるというのは「プロ」の範囲であって。


例えるならば、牛肉の塊をみて「これは松坂ね」なんて分かりませんよね。「松坂牛」って書いてあるから、そうなんだ、って思うだけですよね(肉屋さんが肉の塊を見て銘柄を見分けられるのかは存じませんが……。あくまでも例えです)。


ただ、牛肉も豚肉も鶏肉も「見分けがつきません」っていうのは考え物ですよね。

そういう人には豚バラ肉でも「極上の和牛です」って売ることだってできてしまうから。


きもの関連業界では豚肉を差し出しながら「これが極上の牛肉ですよ、ご存知ないんですか?」ぐらいのレベルで販売することが「可能」な状態になっています(肉はあくまでも例えです)。


それぐらい日本人の着物離れが進み、知識の継承がなされていないのです。


まずは「きものに関しては、牛肉か豚肉か鶏肉かの見分けすらつかない状態」だという事実を受け入れちゃってください。そして、それはちっとも恥ずかしいことではありません。


私は方向音痴を恥じて「ちゃんとしなくては」と生きておりましたが。

苦手なこと頑張ります的な生き方をやめ、カミングアウトしたところ。

みなさまから、優しさ、思いやり、お気遣いをいただくようになって。

無理して頑張っていた頃よりも、迷子にならなくなりました。


そんなものだと思うのです。

(なんで迷子になるの? みたいなことをおっしゃる方ももちろんいらっしゃいました。でも、そんな意地悪言う人と仲良くしたいか? ってことですよね)


「わからない」事実を受け入れたら。

ジャンジャン質問を繰り出して知識を身につけてきましょう!


「ちょっとの勇気」を出してリサイクル店などで「実物を見る」とか、きもの愛好家の人にお願いして「みせてもらう」とか「リサイクル店にご一緒してもらう」とか。とにかく「触れる機会」を持つことが大事です。


人間って不思議なもので覚えようとしなくても、だんだんと「目が肥えて」くるのです。そして、なんとなく見分けがつくようになってくる。歌舞伎の衣装展とか美術館での展示とかでもよいでしょう。とにかく「実物を見る」。可能であれば「触れる」。これを繰り返していきましょう。


リサイクル店における「お品の扱い方」も目安になります。

路面のリサイクルショップでは道にトルソーとか置いてあったりします。

ああいう場所にある商品は、お品としてはあまりよいものではないでしょう。


店の奥の「陽の当たらない場所」にあるものが見どころです。


なぜなら、陳列の際に日光に当たってしまっただけで売り物にならなくなるような、よいお品ということだから。


きものを愛する個人経営の呉服店はたいてい日当たりの悪い場所にあります。直射日光なんか、入りませんよ? ぐらいのお店です(イギリス人は高級なヴィンテージの家具を大事に使うことから、日当たりの悪い家を好むと聞きますがそれと同じです)。


リサイクル店ではあっけにとられるほどに雑然と陳列していることがあります。

ですので陳列具合で店の良しあしは図れないのですが(めっちゃ掘り出し物があるお店が相当に雑然としていたりすることもあるので)。


言い換えると。


そのぐらいの管理でも保管でも、けっこう平気。


ということでもあります。


きものって耐用年数が長いのですね。

もちろん、きちんと扱ってこその「ながもち」です。とくに湿気がたまらないようにすること。空気が乾燥する季節に取り出して虫干しすることなどは、とってもきものが喜びます。


ですが!


気にするのは湿気と害虫ぐらいで。

ニットの虫食いが頻発しているような収納環境の場合は考え物ですが。

普段からお洋服の虫食いなど起きないわ、というご家庭ならば、きものに関しては湿気と直射日光に気を付けておけば、大丈夫です。


これも「知識」のひとつになると思うので覚えておいてくださいね!


祖母が愛用していた帯です。軽く50年以上前のモノと思われます。これを締めていると必ず「素敵な帯」と褒められます。面白い柄なうえに、締め心地も抜群です。


今日も読んでくださってありがとうございました。

みなさまの毎日にププッと笑顔が溢れますように♪

きもの伝道師 貴楽 Kiraku/栗原貴子

箪笥で眠っているきものを目覚めさせることは、地球の未来を守る一歩になる。 そんな風に思っています。 従来よりもカンタン、涼しい、ラクチンな着付け方法を開発。 着付けパーソナルレッスンも承っております。