ルールもマナーも”型”を知っていれば怖くないのです!&きもの豆知識<街着編>

こんにちは。きものナビゲーターの栗原貴子です。


「きものって難しそう」

と思われている方、たくさんいらっしゃることと思います。

ところで、一体、何が難しそうと感じていますか?


①着付け

②格のルール

③作法

この3つについて、「難しそう」と感じているのではないでしょうか?



まず①の着付け。これは習得あるのみ、です。とはいえ、それほど難しいものではありません。まずは「手順を覚える」。それから「きれいに着付ける」というステップを踏めば、誰でも自在に着ることができるようになります。


②格のルール


確かに、きものにはこの「格」というルールがあります。「このきものならば、この帯」といったコーディネートにまつわる「格」。それからお出かけする先のシーンに応じて礼装、準礼装のように使い分ける「格」。


きものも含めて、すべての「ルール」やテーブルマナーとかビジネスマナーと呼ばれるようなものはすべて”型”が存在します。


こうすればいいですよ~、という”型”ですね。


入り口から見て奥が上座ですよ、とか。

自動車の場合は運転席の後ろの席が上座ですよ、とか。

かしこまった文書は「拝啓」と「敬具」を使う、とか。

「謹啓」「敬白」ってパターンもあるよ、とか。


きものも同じような感じで”型”が存在します。


けれど、そもそもの”型”を知らないと「間違っちゃうんじゃないか」という不安にもつながってしまう。昨今のお若い方は真顔で「電話が怖い」というそうですが、家に固定電話がなかったために(生まれたときから携帯電話がある世代ですね!)「誰からかかってきたか分からない電話に出た経験」がなく「何をどう喋っていいのかが分からない」ので「怖い」のだそうです。


ひと言で言えば「知らない」から「怖い」のですよね。


私は某百貨店で電話交換手のアルバイトをしていたことがあり、インターネットなき時代だったため「閉店時間は何時ですか?」的なお問合せもめっぽう多く、1日に300本~350本ぐらいの電話にでまくっておりました。


電話に出た瞬間「はあはあはあ。何色の下着はいてるの?」という変態電話もしょっちゅうでしたが、先輩のベテラン交換手は「紫でございます。失礼いたします」と顔色一つ変えずに電話を切っていて、まだ10代だった私は尊敬のまなざしで先輩を見つめたものでした。


何事も経験を積むことで深みが出てくるのですね。


お話が激しく脱線いたしましたが……。


つまり、きものの場合も”型”を知っていれば、その”型”からわざと外すこともできるし、”型”にあてはまらないシーンなのかどうか、といった判断ができるようになる、ということです。


とはいえ、事細かに”型”を覚えようとすると、ほんと、膨大なのでそれはおいおい知っていきましょう。とりあえず、次の3点を頭に叩き込んでおけば大丈夫です。


〇型を遵守するのは「冠婚葬祭のシーン」

→結婚式、お葬式、ご入学・ご卒業などの式典やお祝いの席ですね。こうしたシーンにふさわしい装いはむしろ分かりやすいので、ググったり、専門の本を見るなどして調べることができます。


〇冠婚葬祭以外のシーンならば、自由でOK

→外出着(街着)として着るのであれば自由にきままにいきましょう!


〇自由でOKだけど「お直しオバサン」が出没しやすい場所

→歌舞伎座をはじめとする演劇や舞台、クラシックコンサートなど。

日本の演劇や舞台はオペラのように「鑑賞はフォーマルでいくもの」という”平服じゃ入場できませんから”ぐらいの確固たるドレスコードがありません。能や狂言の鑑賞の際には着物は礼装という説もありますが、洋装に人にもそのようなドレスコードはあるのか? といえばなさそう。微妙なルールでございます。

オペラのように「和装洋装問わず、フォーマルですから!」というルールでない限り、きものの場合のみ礼装で、というのはいささかおかしくいですか? というのが私の意見です。

なので、ご自分がお洋服で行く場合を目安に考えれば大丈夫です。とはいえ、『あら、その帯はちょっと』みたいなことをおっしゃるお直しオバサンは神出鬼没なため、遭遇するかも? ぐらいの心構えだけはしておいたほうが無難です。


※お直しオバサンとはきもの界に巣くう”妖怪”です。見知らぬ人のきものや着付けにあれこれとチェックを入れてくるという習性があります。お直しオバサン自身は洋装のことが多く、「着付けを習ったけれど今は着ていないタイプ」の人が多い。



③作法

きものの作法と言うと茶道のお作法のようなものをイメージする方が多いのですが、そういうのとはちょっと違います。

きものの場合は所作、かな。


・腕をがばっと伸ばさない!脇をしめて!

・階段を上り下りするときは、裾をつまむ!

・袖が邪魔にならないように、反対の手でそっと押さえる!


というような、日常動作を美しくするための動き方、って感じです。

きものを着ているとどうしても注目を集めるし、目立つので自然と気にするようになるし。

歩幅も小さくなるので「ちょこちょこ」と可愛らしい動きになるので。


相当、がさつな方でない限り、着ていれば自然とできるようになるものです。

なので、そんなに難しく考えなくても大丈夫です!


きものって「習うより慣れよ」であり、着ている内に色々と自然と身についてくるものなのですね。頭使うより、カラダ動かしたほうが習得が速いのです。


なので「難しそう」と思っていたわ、という方はぜひとも肩の力を抜いてリラックスしてくださいませね。


<きもの豆知識 街着編>

これらのきものはすべて「紬」と呼ばれる種類のもので帯とのコーディネートも含め「街着」と呼ばれるものです。帯は左上のものが半幅帯。残りはすべて名古屋帯です。

礼装ではないため、結婚式やお祝いの席などの格式のある場にはふさわしくありません。けれど、それ以外の場所ならばどこへでもお出かけすることができます。なので、まず揃えたい一式をあげるならば、私は「街着コーディネート」をおススメしております。

現代はお洋服もカジュアル化が進んでいるため、「街着」でもその場の雰囲気によっては「すご~く、おめかししてる」という感じで受け止められることも増えました。


今日も読んでくださってありがとうございました。

皆様の毎日にププッと笑顔が溢れますように♪

きもの伝道師 貴楽 Kiraku/栗原貴子

箪笥で眠っているきものを目覚めさせることは、地球の未来を守る一歩になる。 そんな風に思っています。 従来よりもカンタン、涼しい、ラクチンな着付け方法を開発。 着付けパーソナルレッスンも承っております。