2020年の今! 着物&帯の保管方法の考え方とは?

こんにちは。栗原貴子です。

FBコメント欄から「着物の保管」についてご質問いただきました。

ブログにはコメント欄を付けていませんが、FBのコメント欄からのご質問にはお答えいたしますので、お友達の方もそうでない方もお寄せくださいね。
※お返事にお時間を頂戴することもあります。ご了承くださいませ。

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ということで、本日は着物の保管について書きますね!

これは、あくまでも私の考え方であり「正解!」ではありません。

一般的に、着物や帯の保管や収納はこのように言われております。

・桐の和箪笥に収納がベスト

・着物も帯も「たとう紙」に一枚ずつ入れて箪笥に収納

・水平に置く(シワを防ぐ)

・ウールと絹は一緒にしない などなど。

思わず「めんどくさー」という心の声が口から飛び出てしまうわけです。


なんかもう、お作法みたいに言われていて。かつては、ちょっとでも違うことすると突っ込まれるムードがあったりしました。今もあるのでしょうか? 

着物関係のアレコレは何かと口うるさく言われがちでありますが。

「自分のもんなんだから、好きに収納すればいいじゃない?」

というのが、私の意見です。

つまり借り物であれば、ちゃんとセオリー通りにやってねということですね。


本題に入る前に、「そもそも、収納方法がどうして決まってるの?」ということをご説明しますね。

上記の収納のお作法は、ベストな状態で保管するための方法です。


ワインでいえば、ワインセラーに入れるとよいね、というのと同じです。

よほどのワイン通じゃなければ、セラーもってないので。

「ま、いいか」と冷蔵庫に入れたりしますよね?


ワインボトルを横にしてしまうことを考えて、ワインセラーにはボトルにフィットする棚がついているように。

着物用の桐箪笥は、引き出しの幅と長さが、着物を畳んで中心で二つ折りにした状態にぴったりサイズ(たとう紙のサイズ)に作られています。

また、桐は湿度管理に優れていることから、着物や帯を収納するのに適しています。

ということから「着物をしまう用の箪笥」として推奨されているのです。


この前置きを踏まえて、いよいよ本題に入ります。

2020年の今! 着物と帯の収納は

着る頻度 × 素材 × ご自身の性格 × 保管可能スペース 

で考えるのがおススメです


ポイント1<着る頻度の考え方>

「冠婚葬祭にしか出番がない」というような、着る頻度の低い着物や帯は、一枚ずつ「たとう紙」にくるんで水平の状態で、保管されるのがベストです。ベストと推奨されている保管方法は、とくにデリケートであり、金糸や銀糸も使われているような出番があまりない着物や帯のためのモノなのです。

可能であれば、お作法どおりに収納しましょう。振袖、訪問着、留袖、喪服などが該当します。

「桐の箪笥がない」という場合は、桐の衣装ケースをご用意されるとよいですね。衣装ケースに入れて、押し入れやクローゼットに収納できます。



着る頻度が高いものは「畳んだ状態」であれば、衣装ケースでも服の箪笥でも、クローゼットに吊るすでもよいと考えております。クローゼットに吊るすのイメージは、お仕立て上がりの浴衣の販売されている様子をイメージいただくと分かりやすいです。


お仕事で制服のように着物を着ている方などは、「畳んだ状態で棚に横置き」とショップのような収納をされていることも珍しくありません。棚に横置きする際は、着物や帯を日焼けさせないように気をつけましょう。たとう紙にくるんだり、大きな布でカバーをするといった工夫です。


ポイント2<素材の考え方>

着物や帯は絹、ウール、木綿、麻といった天然素材のものが多いです。そして、素材によって「ダメージを受ける原因」が異なります。


木綿や麻はそんなに気を使わなくてもよい素材です。湿気にも強いし、ご自宅での水洗いもOKです。汗をかく季節に着ることが多いので、こまめなお洗濯が保管のキモです。放置しておくと、あぶりだしのように汗染みが浮き出してきます。

木綿や麻の着物は「子孫に連綿と受け継ぐ」というものでもないので、お洋服と同じような感覚で大切にお洗濯を心がければ大丈夫です。


ウールも普段着として愛用されていただけあって、お気遣いしなくても大丈夫な素材ですが、虫に好まれやすいという弱点があります。


素材の中で最もデリケートな絹は、虫さんにとってはA5和牛です。湿気、虫の両面へのケアが必要です。とはいえ、このごろはお洋服の虫食いもあまり聞きませんよね。防虫剤が進化しているおかげですね。

最近ではシルクウールの着物も出てきています。虫さんにとってはどのランクの和牛になるのか分かりませんが、おいしそうです。


こうした「素材の弱点」から逆引きして、最適な収納の方法や場所を考える材料にしましょう。


ポイント3<ご自身の性格>

一枚一枚、丁寧に畳んで~ということが苦にならないどころか、むしろ好きという方がいれば。

「めんどくさい!」と感じる方がいるように。

ご自身の性格もまた、収納方法に関係してきます。

買ってきた食材、とくに乾物などの保存食品を棚の中にしまうと、その存在をすっかり忘れちゃうタイプの私は、ある程度「見えていること」が必要でもあります。なので着物や帯の収納には「視覚化」という要素を取り入れることが大事だな、と考えています。


【たとう紙でくるんで箪笥に収納する場合】

訪問着ややわらかモノの小紋など「着る頻度が低い」着物はたとう紙を使って収納しています。たとう紙の表に鉛筆で「訪問着」「ピンク小紋」など自分で分かるように記入しております。

鉛筆というのがポイントです。ペンで書くとインクの成分によっては、染み出す恐れがあります。


以前「ポラロイドで撮影してたとう紙に貼る」という方法を採用されている方のお話を聞いたときに、真似っこをしよう! と思いました。でも、すでに鉛筆で書いていて、それで私は十分にわかることが分かってやめました。所有している枚数にもよるのでしょうが、収納や片付けの得手不得手も関係しているかもしれません。


さて、ここからが「棚にしまい込むと食材の存在を忘れる」ようなタイプの方におススメの方法です。

【たとう紙を使わない収納方法】

たとう紙にくるまない以外は、推奨されている保管方法と同じです。
引き出しを開けて、上からめくって着たい着物や帯を探せます。

私は着る頻度が高い普段着の着物は、たとう紙なしで収納しておりますが支障はありません。


【畳んだ状態をさらに小さく畳んで「立てて」収納】

着る頻度が高く「ぱっと見で分かるようにしたい」という方にぴったりですが、水平に収納する場合と比べるとシワになる可能性が高まります。アイロンがけの手間と天秤にかけた上で採用するかどうかを決めてくださいね。

ちなみに私は、普段使いの名古屋帯をこの方法で収納しています。引き出しを開けると、ひと目で色や柄が分かるので帯を選ぶのがラクチンです。この方法を採用したことによって「この着物と帯の組み合わせもアリだわ!」という発見が増えたというメリットがありました。



ポイント4<保管スペース>

保管スペースをどのように確保できるのか? ということも収納方法に関わってきます。スペースの広さはもちろんですが、日当たりの悪い部屋や半地下の部屋、浴室に近い部屋など「湿気がこもりやすい場所」は避けた方が良いです。どうしても、そういう部屋に置くしかないという場合は、乾燥剤や除湿器などの併用も含めてご検討ください。


「押し入れやクローゼットに衣装ケースを入れて収納したい」

という場合は基本的に「除湿がんばって!」という環境です。

プラスチックの衣装ケースは通気しませんので、衣類の湿気取りをこまめに交換しつつ、空気が乾燥しているシーズンに全部の引き出しを取り出して床に置いて通気する、ということは必須になります。

お住まいが1階なのかそれ以上の階なのか。木造か鉄筋かといったことでも、湿度は変わってきます。クローゼットや押し入れに収納していたハンドバックや靴、ジャケットなどの革製品がカビてしまったということがあるお宅は、湿度が高い環境です。


また、建物のほかにお住まいのある地形、エリアによっても湿度の環境は異なります。とくに湿度が高いお宅でなくても、冬場に加湿器を使用していれば着物にとっては、季節は梅雨と同じということも忘れずにいてくださいね!

除湿剤は必須です。交換頻度がご自宅の環境によって変わる、と覚えておいてください。


以上が収納についての考え方になります。


ご自分の持ち物なので、ご自分がやりやすいように収納されるのが一番だと私は考えています。

風通しよく

湿気をためず

虫を寄せ付けず

日に当てない


が合言葉です!言い換えると、この4つがクリアできていればOKです。


通気については、「虫干し」が一番ですけれども。


箪笥の引き出しを「え?空き巣?」って感じに段々に開けっ放しにして、エアコンで除湿したり。扇風機の風をあてるという方法でも「やらないより、ずっといい」です。


虫干しをして、一枚一枚、丁寧にお手入れして、という素敵な着物ライフ。私も憧れます。でも、現実には「虫干ししようと思っていた、予定のない日に限って雨」とか、なかなか思うようにはいかないのですよね。

虫干し、桐たんすというカルチャーは今のように、家電や除湿剤が普及していない時代のお話です。

寝押しもそうですね! 今は、アイロンかけたほうが早いよ!です。


イマドキ、寝押しする人がいないように。

扇風機や除湿器、除湿剤といったモノを活用しながら。

できるときに、できることをする、というのでいいんじゃないかと思っています。

今日も読んでくださってありがとうございました!

動画、増やして参りますので! こちらもよろしくお願いします!

きもの伝道師 貴楽 Kiraku/栗原貴子

箪笥で眠っているきものを目覚めさせることは、地球の未来を守る一歩になる。 そんな風に思っています。 従来よりもカンタン、涼しい、ラクチンな着付け方法を開発。 着付けパーソナルレッスンも承っております。