こんにちは。栗原貴子です。
少女の頃「私ってきものの方が似合うかも」と開眼。成人してから、無謀にもローンで着物を購入し、紆余曲折を経ながらきものを愛好して参りました。
亡くなった祖母はきもの好きで、母も叔母もきものを持っておりましたが、着付けは教室に通って習得しました。フリーランスのライターを生業としてきたので、その関係で「きものコラムニスト」の肩書で執筆やトークイベントの登壇、広告の出演などをして参りました。それらの活動を通じて感じたのは「きものへの憧れがありつつも、一歩が踏み出せない人がたくさんいる」ということでした。
一方で私はコピーライター、ブランディング・ライターとして広告や販促ツールのお仕事をして参りました。消費者の認知を高め、購買へとつなげていく仕事です。
和装業界は右肩下がりの一途です。その原因や理由をここで述べるのと長くなりますので、ここでは割愛いたしますが、近年では経済産業省もこのことへの取り組みを初めているようです。
現状を見渡すと「憧れがあるのに一歩が踏み出せない」という方へ、安心してその道を歩きだしていくための情報が圧倒的に不足している、ということに思い至りました。
「きものへのあこがれがありつつも、一歩が踏み出せない」
それは、
好きな人がいるのに、声をかけられないのと同じように思います。
もどかしいですよね。
私の心の奥底から「ひとりできもの着て、楽しんでる場合じゃないな」という思いが湧き上がってきました。きもの文化が衰退してきた歳月の後半の四半世紀をひとりの愛好家として見つめ続けてきて、強くそう思うようになりました。
なぜなら。
ほんのちょっとのことで、きものデビューは可能だから。
そして、きものを着ることで「世界が変わる」という嬉しい体験を私自身、幾度もしてきたから。
きものを通じて日本文化に触れた知識のおかげで、言葉の壁があっても外国の方とのコミュニケーションが豊かになったから。
そして、きものを着ているとこうしたお声をよく耳にします。
〇浴衣を自分で着られないのは情けないな、って感じる。
〇浴衣ぐらいは自分で自由に着られるようになりたい。
〇自分で着られたらもっと人生を楽しめるような予感がする。
〇趣味としてきものを始めたい、再開したい。
〇祖母や母から受け継いだきものをどうしたらよいのか分からない。
〇国際人として海外で活躍したいけれど、日本の文化について自信がない。
何事もはじめてのときはナビゲートが必要です。そして、私はこれらのナビゲートができる知識と経験を持っている。ならば、それを活かしていくことが、私の使命なのではないか、と感じたのです。
私が大好きな故・中原淳一さんが昭和45年にエッセイの一文にこう、書かれています。
「日本人でありながら、自分できものを着られる人が、ほとんどいない日本。」
(『中原淳一きもの読本』P.11より 引用)
私が生まれる1年前に、書かれたこのエッセイを読みシミジミしました。21世紀になったけれど、きものを着る日本人たちがちゃんと存在していんですよ、と心の中でつぶやきました。
100年後の日本にもきもの姿で街を歩いている人がいること。
それが私の願いなのです。
そのための情報発信や場所を作っていきたいと考えております。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
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